211系5000番台の再塗装

2019年に鉄道模型復帰後初のキット組み立てとして211系5000番台を製作しましたが、今の出来栄えと比較すると缶スプレーのボッテリ感があったり、インクジェットプリンターで湘南帯を作成したので帯が退色し始めていたり、ちょっと残念な感じがしたので組み直しをしてみる事にしました。

これが該当のクモハ211-5000他3両です。まあ当時の腕としては悪くないのですが、一番残念なのは国鉄型ステンレスの特徴である窓周りのダル仕上げとビード部分のヘアライン仕上げの表現を再現できていない事です。205系500番台の時のようにこの表現をしたいので塗装を全剥離して再塗装してしまいましょう。

 

1.塗装を剥離します

イソプロピルアルコール(IPA)に2日程度漬け込んで塗装を剥がします。缶スプレーは塗膜が厚いので落ちにくい部分は歯ブラシで擦って剥がします。

 

2.剥離している間にマスキングを準備します

窓周りとドアをダル仕上げにするためシルバー2色を塗り分けるので、準備として窓周りとドアのマスキングを切り出します。今回再塗装する5両分を切り出しました。この作業が結構大変なのですが、手間を惜しむと気に入る作品ができないですからね。

 

3.サーフェイサーを吹いて組み合わせを確認します

今回は白サフを吹いてみました。組み合わせが悪かった部分を再接着したりしたので一度サフを吹いて隙間などが無いか確認します。今回特に問題はなさそうです。

 

4.塗装の準備

今回塗装に使用したのは9色。これをエアブラシで一日で吹くのは結構大変です。湘南帯の2色(GM鉄道カラー黄かん色・緑15号)、車体の2色(ガイアカラー:ライトステンレスシルバー・ダークステンレスシルバー)、正面の2色(タミヤカラー 艶消し黒・白)、屋根の2色(ねずみ色1号・ニュートラルグレー)、内装色(サンディブラウン)です。湘南色の組み合わせは113系の黄かん色と緑2号の組み合わせと違い、ステンレス車の緑は明るめなエメラルドグリーンに近い緑15号です。確か埼京線の帯と同じだったと思います。それでは塗装開始。

5.黄かん色を吹きます

湘南帯は実車と異なりテープではなく塗装で行います。まず最初に黄かん色を吹きます。この黄かん色の発色を良くするためにサフを白にしたんですね。そのお陰で明るい発色で2回重ねるだけで大丈夫でした。

 

6.湘南帯の2/3が隠れる位置にマスキングを行います

今度は緑15号を吹く準備として、湘南帯の2/3が隠れる位置にマスキングを行います。ステンレス塗装を行う前に湘南色に塗ってしまうような感じですね。

 

7.滲み防止のため、再度黄かん色を吹きます

この工程が重要です。吹き込みや滲みがないビシッと綺麗な塗り分けを目指すため、黄かん色をマスキングテープの上から吹いて同色で先に隙間を埋めてしまいます。

 

8.車体下半分に緑15号を吹きます

車体下半分に緑15号を吹きます。塗料の段差が目立たないようにかすれない程度のギリギリの薄さで吹きます。

 

9.マスキングを一旦剥がし、湘南帯をマスキングします

窓上の黄かん色は1mmのマスキングテープを貼りましたが、窓下は準備していたマスキングテープの合わせ具合があまり良くなく湘南帯が失敗しそうだったので、湘南帯上端からボディ下端までマスキングを行いました。

 

10.ライトステンレスシルバーを吹きます

窓周りのダル仕上げのザラッとした感じを出すために、ちょっと濃いめに調整してエアブラシを離し気味に吹きます。こういった細かい調整ができるのがエアブラシの良いところですね。シルバーは隠蔽力が強いので軽く2回吹けばOKでした。

 

11.湘南帯上端〜ボディ下端のマスキングを剥がし、ドアと窓周りをマスキングします

事前に切り出しておいたマスキングテープを貼っていきます。5両分貼るのは結構手間がかかりますが、丁寧に行わないと非常に出来栄えを左右する部分なので手を抜かず丁寧に貼り付けます。

12.ダークステンレスシルバーを吹きます

ビード部分の落ち着いた輝きのあるシルバーが再現できるダークステンレスシルバーを吹きます。本当にこの色はいい色ですよねぇ。この色が大のお気に入りで、東急車なんかこれで塗ったらカッコイイだろうなぁ何て思っちゃいます。ちなみにこの塗料は粒子の関係から筆塗りができません。

 

13.正面をマスキングし、半艶白を吹きます

貫通扉と車体をマスキングして白を吹きます。タミヤの白(X-2)はそのままだと艶がありすぎるので、フラットベースを調合して艶を落として吹きます。白は隠蔽力が非常に低いので何度も薄く重ねるのがポイントです。

 

14.マスキングを剥がして確認します

車体の塗装が一通り終わったので全てのマスキングを剥がしてみます。そうすると出てきましたねぇ、国鉄ステンレス車が。このステンレスの質感の違い、堪らんなぁ。窓周りとドアがダル仕上げ・ドア周りの縁がちゃんと細くヘアライン仕上げになってるところが頑張った甲斐があります。

と確認していたところ、マスキングを間違えて湘南帯の上にダークステンレスシルバーを吹いてしまったところを見つけてしまいました。

運転席直後の部分でマスキングテープの貼り方を間違えてしまいました。ここだけ湘南帯を再塗装するのは大変なので、デカールで湘南帯を貼り付ける事にしました。

ハイキューパーツのクリアデカールTHに筆で湘南帯を塗ります。

指定のサイズに切り出します。

デカールを指定位置に貼り付けました。同じ塗料なので色調の違いが出る事もなく問題ありません。一緒に顔の凹部分にタミヤエナメルカラー艶消し黒を差しておきました。

あとは屋根だけなんですが、ここまでで初日の作業は時間切れになってしまいました。

続いて次の作業日。

 

15.屋根をマスキングしてニュートラルグレーを吹きます

屋根を吹くだけなので時間は数分程度ですが、エアブラシなので前段取り・後段取りが時間掛かるんですよねぇ。まあその分出来栄えは缶スプレーと全然違いますが。タミヤニュートラルグレーを濃いめに溶いて離れた位置からザラザラになるように吹きます。完全に艶消しになって新車の塗り屋根のように仕上がりました。よしよし。

16.仕上げ

屋根上パーツの取り付けや車体表記を貼り付けます。車番はクリアデカールTHに黒文字をレーザープリンターで印刷して貼り付け、側面と前面のJRマークは特注インレタを貼り付けます。表記類の貼り付けが終わったらトップコートを吹いて表面保護を行い、窓ガラスを貼り付けて出来上がりです。

クモハ211-5045 静岡車両区(静シス)LL20編成の熱海寄り先頭車になります。新製当初は大垣所属でしたが、大垣に313系が配置されてから静岡に転属してきました。車体はほぼストレートに組んでいますが、床下機器はそれっぽく配置を変更しています。スカート形状が現在と異なるので、そのうちスカートも変えてみようと思ってます。所属表記の右にあるオレンジのJRマークがJR東海所属車の証であるポイントですね。

モハ210-5045 LL20編成の中間車です。こちらも床下機器の配置をそれっぽく変更しています。

クハ210-5045 LL20編成の米原寄り先頭車です。こちら側はダミーカプラーを付けていたのですが、今回の組み直しでTNカプラーに交換して連結可能にしました。

クモハ211-6001 静岡車両区(静シス)GG1編成の熱海寄り先頭車になります。この車両は昭和62年に組んだ211系1000番台キットの組み直しで、35年前のキットだったので素材の劣化が進んでいて改造時に割れそうでした(笑)。屋根の配置変更と冷房装置の変更(AU75G→C-AU711)、床下機器の変更と前面の付け替えを行いました。1M車のびっしり埋まった床下が良い感じです。

クハ210-5049 GG1編成の米原寄り先頭車になります。こちらも211系1000番台キットの組み直しです。